2010年6月21日月曜日

The Reader [愛を読む人]

読むオトコがいて聞くオンナがいる。この設定だけで映画は成立する。物語を読むオトコ、物語を聞くオンナ。二人のイマジネーションがひとつになれば官能の楽園だ。
でも、それは本当の世界ではない。閉じこもった小さな部屋の中だけの出来事だ。本当の世界には法律もあるし道徳もあるし他者のエゴイズムも平然とまとわりついてくる。だから、映画も社会を描く。現実社会の中にオンナとオトコを放り込んで成り行きを見つめた。
スティーヴン・ダルドリー監督の[愛を読む人](2009年公開)の原題は[The Reader]である。「愛を」という語句は付いていない。[読む人]である。何を読む人なのか、それは観客の判断にゆだねられる。その方がいい、とボクは思う。冷徹なストーリーのこの映画にボクは(いわゆる)愛を感じない。(いわゆる)愛をテーマにした映画ではない。本当の世界を生きるための作法が客観的に提示される。[社会からの仕打ち]がテーマだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿