2010年6月20日日曜日

縁もタケナワ [ショートカッツ]

短編集を一気に読了したら頭の中で話がマゼコゼになっているのでひとつひとつの話を切り離して思い出そうとするがウマクいかず結局一本の小説として記憶の引出しにしまってしまったような映画だったがその映画のタイトルは[ショートカッツ]である。ロバート・アルトマン監督で1994年公開。(一見)関わりのない人たちの日常エピソードが同時進行するいわゆる群像劇だけどアルトマン式なので登場人物が身近に感じる。男は無邪気だけどオロカだし、女はオロカだけど無邪気なのだ。みんな何かに悩んでいるけど悩みのタネが庶民的で返って痛みを実感する。(一見)関わりないのない人たちの様子がランダムに構成されていくけど、実は[関わり]があって構成にも[根拠]がありそうだ。「ナチュラルなのに意味ありげ」こそがアルトマン式だとボクは思う。朝が来て子供が騒いで昼になってカラカラと些細な出来事が起きて夜になって酒飲んで愚痴をこぼして寝る、基本はその繰り返しなのにドラマチックである。ヘリコプターの空中散布と大きな地震に意味はなくてストーリーに影響しないのに短編小説のひとつひとつを一冊にまとめる綴じ紐になっている。日常の無常(うつろい)がイトオカシなのだ。「どうせみんなバカなんだ、楽しもうぜ人生を」というのがアルトマンのメッセージ。これぞシネマの神髄だ。

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