2010年6月23日水曜日

カルハズミな鼠 [黒澤明の五本]

TSUTAYAが半額セールをやっていたので黒澤明作品をいっぺんに五本借りてしまいました。レンタル期間は一週間なので大丈夫だろうと思ったのです。年代順に並べると[白痴] [生きものの記録] [蜘蛛巣城] [隠し砦の三悪人] [椿三十郎]です。なかなかオツなラインナップだと思います。案の定、返却前日にあわてて五本を立て続けに観ました。
五本をまとめて観て感じたことがあります。みんな同じ特殊なニオイがしました。何でしょうか、しばらくわかりませんでした。
TSUTAYAに返却しての帰り道、ポンと気がつきました。B級映画のニオイです。徹底的にペタを追求する、あの一途でがむしゃらな、例えばB級ホラーの傑作[エドウッド](ティム・バートン監督)のような、脇目を振らないしたたかなストーリーテリングと、たいしたことのないエピソードでも恥ずかしげなく徹底的に大袈裟に描く態度です。
実はクロサワ作品はスペシャルB級だったのです。ボクは真面目に評価しています。たぶん昼メロの原型もクロサワ作品だと思います。スピルバーグもルーカスもコッポラも大作をつくりますがB級です。大ヒットするB級映画です。
さて、B級映画とは何でしょう。ボクは無責任な発言をします。B級映画の定義を知りません。ましてやA級映画を観たことがありません。
映画スベテがB級なのだとしたらボクは納得します。人情モノはB級が似合うんです。映画の基本は人情でしょう。違いますか。落語だって歌舞伎だってそうでしょう、違いますか。
そのものズバリ[人情紙風船]という山中貞雄監督の映画がありました。これが映画だ、これが日本映画だ、と胸を張って語ることが出来るボクの大好きな作品です。クロサワとはだいぶ路線が違いますがね。
TSUTAYAからの帰り道に露天の焼鳥屋を通ります。いつものお兄ちゃんがいつもの笑顔でヒョイヒョイと手際よく焼いています。買わないけれど、お兄ちゃんの顔を見て安心します。

0 件のコメント:

コメントを投稿