2010年6月20日日曜日

成るシスト [マルコヴィッチの穴]

映画[マルコヴィッチの穴](1999年公開)はそのタイトルに惹かれて観た。ミュージックビデオで名をあげたスパイク・ジョーンズ監督のシネマ第一作は不思議な設定を凡庸に描いていた。高度なエフェクトも斬新なモンタージュも燃えるようなラブロマンスも反骨の社会テーマも無い。ただストーリーがトントンと運ばれていく。原題は[Being John Malkovich]。「マルコヴィッチに成る」というニュアンスだろうか。小さなドアを開けて穴蔵に入っていくと俳優ジョン・マルコヴィッチの脳内に侵入し、マルコヴィッチの目から視界を眺め、マルコヴィッチの言動を制御することができる。つまり「マルコヴィッチに成る」ことができる「穴」にまつわる物語なのだ。オトナに成る、とか、ウルトラセブンに成る、というように、マルコヴィッチに成る。「でも成るってどういうことだろう」というようなことを考えるのが好きな人には向いている映画だ。マルコヴィッチ本人も気にナルらしく、マルコヴィッチもマルコヴィッチに成ってみた。成ってみたら驚いた。やはりこのシーンが一番記憶に残る。この映画のシンボルに成っている。そういえば俳優ジョン・マルコヴィッチはクリント・イーストウッド監督の[チェンジリング](2008年公開)に牧師の役で出ていた。マルコヴィッチに成ったままだったな。

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