2010年6月20日日曜日

シバラクの海へ [デッド・マン DEAD MAN]

死んだ子鹿を抱きしめて眠った夜がとても幸福だった[DEAD MAN]は最後に小舟で流される。補陀落に向かったと思われる。思えばずっとあの世へ向かう旅だった[デッド・マン DEAD MAN]の森の徘徊。ジム・ジャームッシュ監督は西部劇をモノクロームで撮った。(1995年公開) カメラマンはロビー・ミュラー。ヴィム・ヴェンダース監督の[パリ・テキサス]を撮った男、ラース・フォントリアー監督の[ダンサー・イン・ザ・ダーク]を撮った男。ボクの大好きなカメラマン(もちろん会ったことはない)。ある詩人へのオマージュ作品だということだが映画そのものが詩の味わいになっている。セリフが肌にシミコムのだ。「銃はオマエの舌だ」と呟いたのは森で出会った太ったネイティブアメリカンだった。淡々と人を殺し続けたのは殺されないためだったジョニー・デップの華奢な身体はいつも半分スケテいた。存在感より欠落感の役者なのだな。

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