2010年6月20日日曜日

卵のママで [エイリアン]

最初に[エイリアン]を観たときもガガッと驚いた。1979年公開だった。H・R・ギーガーデザインのクリーチャーはお下劣でエロティックで突拍子もなかった。宇宙空間のイメージは11年前の[2001年宇宙の旅](1968年公開)を越えられなかったけど、あからさまなパクリデザインがかえってイサギヨカッた。正統なるB級映画のやり方である。ツッコミドコロの的を絞る。それに2年前の[スターウォーズ](1977年公開)のように気取っていない。戦いに哲学的な理由なんていらない、条件反射的な生体反応のエイリアン世界が快感だった。リドリー・スコット監督による[ブレード・ランナー]前の仕事である。宇宙船の中でも平気で煙草を吸わせちゃうリドリーの演出根性が特にスバラシイ。宇宙船といっても貨物船のクルーなので沖仲仕(港湾作業員)的な荒々しさが欲しかったのだと思う。野性味のある性格ヅケに成功している。地球外生物と知りながら(エイリアンを)アッサリと船内に入れてしまう愚かさにも納得がいくのだ。乗組員の一人が実は監視ロボットでした、皆さん気がつきませんでしたね、という都合のよいシコミにも腹は立たない。エイリアン自身の目的はシンプルだった。地球植民地化でも宇宙制覇でもない、タマゴを産み残したいだけ。そう言ってくれれば(リプリーはキミを)殺さなかったかもしれない。

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