2010年6月21日月曜日

LIFE=WORKS=PROJECTS [クリストとジャンヌ=クロード展]

六本木には美術館がイクツもある。国立新美術館やサントリー美術館、AXISギャラリーや森美術館や21_21 DESIGN SIGHTなど。古典や前衛や商業デザインや分類できない表現など、いろんな展覧会があって、多彩なジャンルのアートに出会うことができる。(ボクはこの街がだんだん好きになってきている)
[クリストとジャンヌ=クロード展]は 21_21 DESIGN SIGHT で開催された素敵な展覧会。一応言っておくと 21_21 DESIGN SIGHT は、東京ミッドタウンにある美術館でデザインの視点からアートを紹介している。設計は安藤忠雄で、むき出しコンクリートの箱に傾斜のある一枚板の屋根が乗っかっていて、建物の印象はスッキリしている。 
クリスト&ジャンヌ・クロード (Christ and Jeanne Claude) は夫婦の名前だ。二人は1935年6月13日、同じ年の同じ月の同じ日に生まれた。同じ誕生日の夫婦は、二人でひとつの作品をつくりあげている。でもクリスト&ジャンヌ・クロードの作品のスケールは美術館には入りきらない。何十年もの準備期間を費やして、パリのポン・ヌフ橋やドイツの歴史的建造物を「丸ごとフンワリと布でくるんだりする」のが二人のヤリ方なのだ。日本でも茨城県の谷筋に高さ6メートルもある青い傘を1340本も連ねて景観を作りあげた。このとき同時にカリフォルニアの丘陵では黄色い傘が1760本、巨大キノコが群生したかの如く発生した。[アンブレラ]という作品だ。他にもマイアミの[囲まれた島々]やNYセントラルパークの[ゲート]という自然や構造物と一体となった景観作品を手がけている。二人の作品はとにかくスケールがでかい。美術館の展示室に持ち込める代物ではないのだった。だからギャラリー空間には写真とドローイングが展示されているが、これだけでは二人の作品世界の醍醐味は伝わらない。でも大丈夫。ドキュメンタリー映画6本を観ることが出来る。というよりも、ボクの印象では、ドキュメンタリー映画の上映会場に写真とイメージデッサンも展示してあるという様相だ。LIFE=WORKS=PROJECTS という展覧会のタイトルが示すとおり、クリスト&ジャンヌ・クロードの表現は物質的なオブジェを見せることではなく製作活動そのものをアートとして社会に提示している。だから、この展覧会も展示物がアートなのではなくて、展覧会を六本木で開催して人々が観に来て何か感じてオシャベリして帰りにどこかで食事して明日からまた仕事や日常に戻ってもまだアートは続くという気持ちになってくるという仕掛けなのだった。
クリスト&ジャンヌ・クロードが石を投げ込むと波紋が広がる。政治家や役人の正体が暴かれ、庶民の純粋が明らかになる。ドキュメンタリーにはそういうことも映っている。
クリスト&ジャンヌ・クロードのアートは人生を楽しむ方法なのだと思う。夫婦ゲンカも絵になるのだった。

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