2010年6月21日月曜日

アタラシイ勲章 [グラン・トリノ]

今度はザラザラと色あせたインディーズフィルム調の画質だったクリント・イーストウッド監督の[グラン・トリノ](2009年公開)は「強さ」について考察している。腕力がワンワンと物を言ったあの頃は過ぎ去ってしまったけれども今だって何かが強くなければ生きていけない。だけど何が強ければいいのかさっぱりワカラナイと日々常々ボクは思っていた。そんなところへ持ってきて[グラン・トリノ]公開だからクリントはやってくれるぜ。高校生の時に池袋の文芸座で初めて[荒野の用心棒]を観たときにジャストタイミングに肝を抜かれたズゴズゴ感を思い出す。そうなんだよそういう感じのことなんだよボクのモヤモヤは、よくぞやってくれましたという高校生のボクに刺さったあの時のスゴスゴ感のことである。言葉を換えて言ってみると「怒りの矛先」を教えてもらってニゴリ水が見事に飲み込めた快感なのだ。理性と野性はチャーハンになって同じ皿の上に乗っているから腹が減ったら一気呵成に食べてしまえばいいんだけれども作法が難しいと思っていたんだ。でもこのシネマを観ればそれがわかる。身を挺して食べればよろしい。何気ない日常風景のつれづれにおいて身を挺して食べればよろしい。さすればプライドが立つ。これは特別なハナシではない。クリントがあらためて囁いてくれた美しく生きるための「強さの秘訣」だ。彼は世代を超えて同時代に生きている。シネマの言葉に耳を傾けよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿