2010年6月20日日曜日

世の中ゼニやけど [夕陽のガンマン]

ニッポンではボクが七歳の時に封切られたセルジオ・レオーネ監督のマカロニウェスタン[夕陽のガンマン](1967年公開)でいつもマブシイ顔をしているクリント・イーストウッドはイカシテルけど(まだ)演技派というほどでもなかった。マカロニウェスタンだからイタリア映画の西部劇。スペインで撮影したらしい。主演のクリントももう一人の賞金稼ぎリー・ヴァン・クリーフもアメリカ人だ。セリフも英語。セルジオ・レオーネ監督はイタリア人で当時英語は苦手だったとのこと。ボクはこの映画を日本語字幕で観た。ああややこしい国際感覚と感じるのは(ボクが)島国根性のニッポン人だからだろう。インターネットは無かったけれど既に世界はネッチャリと混じり合っていたのだった。南仏アルルでゴッホが浮世絵を見つめていたのは1888年だ。二人の賞金稼ぎが手を組んで悪党一味をやっつけるというわかりやすいストーリーでロマンスも葛藤もない。強力な太陽が照りつけるホコリっぽい荒野でムクツケキ男たちが汗まみれで金を奪い合う映画なのだ。拳銃の技が勝負を決める男の世界だ。義理も人情もない馬鹿馬鹿しいほどにシンプルなお話しである。それにしてもエンニオ・モリコーネのラテンなテーマ音楽が流れれば倫理も論理も吹き飛ばっされてシネマティックな気分にひたることができた。時は流れて、セルジオ監督が悲しくてやりきれないイタリア系移民の人生をネットリと描いた[ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ]が公開されたのは17年後の1984年だった。クリント・イーストウッド監督も「ガマンして生きる」映画をつくり続けている。

0 件のコメント:

コメントを投稿