2010年7月7日水曜日

感じる都市 [ TOKYO ! ]

「とうきょうビックリ」と読むんだろうか。
映画TOKYO ! ](2008年公開)は、ミッシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノという三人の尖った監督の短編競作だ、いわゆるオムニバス。三話とも舞台は東京。三つ巴、三位一体、三者三様の物語。たくさんの違和感をコックンと可愛く飲み込んだヤブニラミ都市TOKYOの肖像が三ツ目の巨人となって立ちあがる。
ミッシェル・ゴンドリー監督の[インテリア・デザイン]が一話目だ。彼氏との仲がカクカクと噛み合わなくなって自己認識が危うくなってナントあんなものに変身してしまうカワイイ娘は愛車をスクラップにされてもへこたれず、非人間の新しい生活を意外と楽しんでいる。ゴンドリー監督の変身譚はPVでお披露目済みだがモチロン深く進化しているよ。
二話目は不快の帝王とボクだけが呼んでいるレオス・カラックス監督の[メルド]。あいかわらず不快の名作だぜ。そのうえヤマトダマシイを逆なでしやがる見事なお手並みだ。ポンヌフから走り続けてきたのかドゥニ・ラヴァンは「糞ったれ」を掲げて銀座の舗道を構わず突っ走るが、その姿がヤッパリ汚くて気持ち悪くてイカレてる。レオス監督、衰えを知らず1960年生まれだ。
さあ三話目が実は本命、ポン・ジュノ監督の[シェイキング東京]。東京の夏の湿気た暑さがヌメっと肌にまとわりついてくる映像感覚は、ファーストシーンから裏側を剥き出しにする。キチンと整頓された木造家屋の薄暗い部屋に、男が一人秘やかに暮らしている。鮮やかな赤いシャツのピザ屋の娘が配達に来て、ジット見つめるものだから、事件は起こる。ポン・ジュノ監督が東京の現代から引っ張り出した魔物は生々しくて妖艶だ。揺れるのは大地だけではない気持ちだけではない。都市の霊気だった。

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