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2010年6月20日日曜日

シバラクの海へ [デッド・マン DEAD MAN]

死んだ子鹿を抱きしめて眠った夜がとても幸福だった[DEAD MAN]は最後に小舟で流される。補陀落に向かったと思われる。思えばずっとあの世へ向かう旅だった[デッド・マン DEAD MAN]の森の徘徊。ジム・ジャームッシュ監督は西部劇をモノクロームで撮った。(1995年公開) カメラマンはロビー・ミュラー。ヴィム・ヴェンダース監督の[パリ・テキサス]を撮った男、ラース・フォントリアー監督の[ダンサー・イン・ザ・ダーク]を撮った男。ボクの大好きなカメラマン(もちろん会ったことはない)。ある詩人へのオマージュ作品だということだが映画そのものが詩の味わいになっている。セリフが肌にシミコムのだ。「銃はオマエの舌だ」と呟いたのは森で出会った太ったネイティブアメリカンだった。淡々と人を殺し続けたのは殺されないためだったジョニー・デップの華奢な身体はいつも半分スケテいた。存在感より欠落感の役者なのだな。

チェック柄のテーブルでは [コーヒー&シガレッツ]

ちょっと一服って何気ない光景だけど特別な時間だと思う。お茶の時間に交わされるトリトメのない言葉の群れは書記官が書き留めることもなく大概スグに忘れてしまうけど大切な時間だとみんな感じていて、だから世界中で習慣として定着している。ちょっとひと息入れてオシャベリをするのはとても楽しいヒトトキだ。ジム・ジャームッシュ監督の[コーヒー&シガレッツ](2005年公開)はコーヒー(または紅茶)を飲みながら特に煙草を吸いながらオシャベリする二人(または三人)の様子を漫然と眺める映画である。11の場面がフワリフワリとそよ風のように入れ替わる構成で、それぞれに脈絡(つながり)はない。オムニバスとか短編集といった味わいで楽しめるようになっいる。詩集に近いかもしれない。会話の内容もマチマチで一貫性がないけどユーモアのセンスがキラキラ光っているから、ボクはニタニタ笑いながら最後まで見続けた。役者の顔ぶれと演技力による格別の表現がこの映画の特徴だけど(観ればわかるから)詳しく説明するべき要素ではない。そういえば全編モノクロームだったなと見終わってから思った。